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ゆきのはなし
雪の話
寺田 寅彦
「東京朝日新聞」1908(明治41)年4月10日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,890 字 · 4 页
雪雲
雪と水との量の差異
白い雪、赤い雪、緑の雪
雪雲
天気のよい日、空際遥かに真白な雲が刷毛ではいたようにあるいは細かい鱗のように棚引いている事がある、あの雲は普通の低い雲とはちがって皆雪片から出来ているという。また寒中などに太陽のまわりに暈が出来てその輪の横に光った処が出来、あたかも日が二つも三つも現われたように見える事がある、あれもやはり空中の雪片が太陽の光を曲げあるいは反射するために起る現象である。
雪と水との量の差異
降り積もった雪を一時に解かして水にしてしまったらどれだけの水になるかという事は実際上要用な事であるからこの事を研究した人は沢山ある。先ず新しく降った雪が一尺積んでいればこれを解かして水にすればザット一寸ないし八分くらいの深さになる。しかし高山などに積んで数ヶ月も解けずにいるのだとだんだんに質が密になって一尺の雪が五寸くらいの水に当るようになる。なお一層永く降り積もっていわゆる氷河などになれば、もうほとんど氷塊と変りがなくなるのである。
白い雪、赤い雪、緑の雪
雪と云えば白い物と相場がきまっている。雪が氷のように透明でないのはつまり雪片の中に空隙が沢山あるためで、丁度ガラスの粉が真白なようなわけである。