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ゆきわりそうのはな

雪割草の花

石川 欣一

「家事と衛生」家事衛生研究会、1927(昭和2)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 2,583 字 · 6 页

青空文庫

たっぷり水をやって、ガラス戸の内側に入れる。なんだか、大きな仕事をやりあげたような気がした。これだけで、大分ウンザリした。したがって、残り何十本は、庭のすみに、いい加減な穴を掘って、植えた。

*

それから、寒い日が続いた。一体、私の住んでいる所は寒いので有名だが、この冬はことに寒いような気がした。毎朝、窓ガラスに、室内の水蒸気が凍りついて、美しい模様を描き出した。

だが部屋の中は暖かかった。雪割草のつぼみは、目に見えてふくらんで行った。ただ、一向茎らしいものが出ない。きっと、福寿草のように、土にくっついて花が咲き、あとから茎がのびて葉を出すのだろう。それにしても、早く咲きそうだ。このぶんなら、お正月には確かに花を見ることが出来るだろう。と、私は大いによろこんでいた。

*

ところがある朝ふと気がつくと、一番大きなつぼみが見えない。チラリと赤い色を見せていたつぼみは、きれいにもぎ取られている。さてはねずみが食ったなとその晩から、夜はねずみの入らぬ部屋に置くことにした。

*

それにもかかわらず、つぼみはドンドン減って行く。