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ゆき
雪
楠田 匡介
「探偵新聞」1948(昭和23)年5月5日号、5月15日号、5月25日号、6月5日号、6月15日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,792 字 · 50 页
一切出張の係官の指示にしたがってくれ給え、船の方へは僕の方から通知しておくよ」
そういって引とらした。
伊東が出て行って終うと警部は、
「一筋縄では行かない連中ばかりだ」とはき出すようにつぶやいた。
「証書ってどうして、なくなった証書の事が判ったのかね」
久保田検事はMCCを一本抜きながら聞いた。
「あああれですか、なあに、これですよ」
そういって警部はあの夜現場の卓の上にあった大型の、早川が売却本の目録を書きかけていたフールスカップを、書類の下から引っぱり出して拡げた。
「ほれ、ここに鉛筆で、無駄書きをした所がありましょう。¥3.000.00 ¥3.000.00と二つ三つありますね」
「何か本の代価ではない?」
「僕も初めはそう考えたのです。下に POSER と、英語で乱棒に、書いてあります。これは伊東と話しながら無意識に書いたんです。調べてみると早川にはそんな癖があるんですね――で、僕は三千円を伊東に貸したか、又は貸すというのか、判らないがあの夜、二人の中に三千円が問題になっていたと想像したのです。それがあの文庫の中をみて了解したのですよ二、三証書を入れた封筒が入っていましてね。