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ゆき
雪
楠田 匡介
「探偵新聞」1948(昭和23)年5月5日号、5月15日号、5月25日号、6月5日号、6月15日号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 24,792 字 · 50 页
で今一度、出発点に戻して見て……あのランプの灯がなかったとして、考えて見たのです。すると朧気ながら、あの兇行の時間に、一つの一致を見る事が出来たのです。だが灯の消えたのは事実です……けれどもあれは消したのではなく、消えたのです。私はあのランプは自然に消えたものと、断定したのです」
「だって君、あのランプには、まだ石油が、半分も残っていたし、風だって何処からも入る所はなかったぜ」
検事は警部の言葉を反駁した。
「そうです。油も残っていました。だが、ランプの消える原因を、あげて見ましょう」
警部は静かにそういって、手元の紙に、
ア、油のなくなった時と書いて、
「これは絶対です。次に……」
イ、吹き消した時。(風も)
ウ、シンを圧した時。
エ、シンを口金より下にさげた時。
オ、急激な震動を与えた時。
カ、酸素をたった時。(水をかけた時も)
「これだけあります。その外には……」
警部はそういって「キ」と書き添えた。
「あ! それから石油の凍った時です」
一人の若い巡査がぽっつりといった。
「そう、そうです。そうですよ。油の凍った時も、やはり消えるのです。あの広瀬先生のご覧になった深夜の二時、あのランプは寒さのために、石油が凍ってそして消えたのです。