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うんなんしゅびへい
雲南守備兵
木村 荘十
「新青年」1941(昭和16)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,859 字 · 76 页
彼は、何時も脳裡の隅にうずいていた家族に対する不安が大きくのしかかって来るような気がして、厳封の上公用と書いた重い荷物をしっかり抱え直すと、避難民の群を追うように、足早に歩き出した。
“お母さんや弟はどうしているのか、早く公務を済ませて行って見よう”と。
何度手紙を出しても、返事のない家族や、近所に住んでいた親しい人達の身の上を考えていたのである。
城内にある軍務司長官署へ着いたのは八時頃だった。
命じられた通り、沈団長の名刺を出して、軍務司長の副官、周少佐に面会を求めると、会議だというのに副官はすぐ出て来て、忙しそうに、用件を簡単にと云った。
孫伍長はかたくなって敬礼し、自分の官姓名を名乗ると、そのままの姿勢で念を押した。
「周玉明少佐殿でありますか」
「そうだ、周玉明だ」
少佐は、孫伍長が会釈して上衣のボタンを外し顔をしかめて肌着の中に手を入れるのを、無表情な顔をして見ていた。そして、彼がやっと引張り出した書面を無造作に受取って読み始めたが急に緊張した様子で云った。
「その荷物の内容を税関に見せはすまいな」
「はッ、公用の判がありましたし……」
「よしよし、時に手紙の内容は大体聞いて来ただろうか……」