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うんなんしゅびへい

雲南守備兵

木村 荘十

「新青年」1941(昭和16)年4月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 37,859 字 · 76 页

青空文庫

灯なき街

「兄さんッ、行っちゃア厭だ」

「春生ッ、折角老人が世話をして下さるというのに、何を云うんだ。さっき自分で言った言葉をもう忘れたのか」

「まあいい、子供だもの無理はないさ」

「有難う御座います。お蔭様で安心して行けます」

「では約束を忘れずにね。短気はいかんよ」

「ええ大丈夫です」

孫永才は、思い切って小屋を出ようとした。

「兄さんッ」

春生は、声をあげて兄を追った。孫は、よろけかかった弟を抱いて涙を浮べたが、言葉は荒々しく叱りつけた。

「意気地なしッ、そんな了見でこれから先他人に負けずに一人前になれるか。落盤に押しつぶされた万里のことを考えて見ろ。何万とこの鉱山で殺された子供達のことを考えて見ろ。同じ箇旧に俺もいるんだ……お前なんか、不幸と云える身じゃアないぞ」

「はい」

「よしよし、分った、分ったな」

老人は春生の手をとってさすりながら、眼で永才に行けと云った。

灯なき街

山間の鉱山街は、やがて暗い夜の底に沈んだ。

憂欝な面に、凄愴な殺気をかくして孫軍曹が、老人にそれとなく戒められて、丘の起伏に長い影を引きながら、鉱区の黄昏の中に溶け込んでから、まだ間もないのに、街は死んだように寂しかった。