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かみなり

雷

海野 十三

「サンデー毎日 秋期特大号」毎日新聞社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,706 字 · 40 页

青空文庫

それは全く、何とも云えない爽々しい気分であって、二人は夢のように悦び合った。これならば、門をくぐる患者も殖えることであろうと思われた。

「オイお里。……どう考えても、北鳴氏は親切すぎやしないかねえ」

「アラいやアね。また始まった。一体貴郎は幾度疑って、幾度信じ直せば気がすむんでしょ。……すこし気の毒になってきたわ」

「なアに、疑っているというほどではないよ。……それは親切でなくて、僕たちが幸運で、お誂え向きのところへ嵌ったといった方がいいかもしれない。とにかく、この家は素敵だぜ」

まだ子供のない二人は、いつも新婚夫婦のように若々しくて、仲がよかった。

「オイオイ、ちょいと上って来てみろ、妙な櫓が建つ!」

と英三は階下の細君に向って叫んだ。

「アラ櫓ですって。……」

お里は驚いた顔つきで、トントンと急な階段をのぼってきた。

「まあ本当だわ。右と左と、同じような櫓ですわネ」

「どこかで見たような櫓だネ」

「どこかで見たって、ホホホ、もち見た筈よ。だって、里のお父さんの家の二階から見えたと同じような櫓ですわ」

「そうそう、憶い出した。……すると、あれは矢張り、北鳴氏の実験に使うものなんだネ。