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かみなり

雷

海野 十三

「サンデー毎日 秋期特大号」毎日新聞社、1936(昭和11)年9月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,706 字 · 40 页

青空文庫

と、彼は膝を進めて「そういっちゃなんですが、旦那の櫓も、上に避雷針をのっけて、妙に高い高価な銅線を地中に引張り込んでサ、あれは何とか写真の活動写真を撮るためだといいなさるが、むしろ村にゃ似合わない素晴らしい避雷針を建てたようなものですよ。儂は思いますよ。避雷針があると、かえって雷を引き寄せて、落雷が多くなるとネ。それも、素敵な避雷針は、なお強く、雷を呼び寄せる。……」

北鳴四郎は、苦がり切った面を、松吉の方に向け、

「素人に、何が分る。雷は、お前たちの手にはどうにもなりゃしない」

「では、雷には玄人の旦那には、雷が手玉に取れるとでも云うのですかネ。そんなことがあれば、仕事の上に大助かりだね。教えて貰いたいものだ」

「莫迦を云いなさい。……私には勿論のこと、誰にもそんなことが分っているものか」

と四郎は強く打ち消した。しかし彼はそれを云った後で、なぜか妙に怯えたような眼をしていた。

8

英三とお里は、北鳴の好意によって、境町の新築の二階家へ引越していった。そこで新しい木の看板を懸け、階下を診察室と薬局と、それから待合室とに当て、二階を夫妻の住居に選んだのだった。