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でんきかんばんのしんけい
電気看板の神経
海野 十三
「新青年」博文館、1930(昭和5)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,480 字 · 29 页
その隙に岡安はとび上って何だかわけのわからぬことを呶鳴りちらしては暴れていた。「春公の怨霊め、電気看板に化けこんだって、僕はちゃんと知っているぞ。僕が殺せるんなら、サアここまでやって来て殺してみろ!」彼は電気看板を春ちゃんの死霊と思い誤っているのであった。警官は、この気が変になってしまったらしい岡安を手とり足とり連れて行ってしまった。騒ぎがますます大きくなってゆく内に、女給の鈴江と、コックの吉公とが、全く行方不明になっていることが報告された。それ以来、今日に至るまで二人の消息は、警視庁にとどかないのである。警視庁では、その夜、電気商の京ぼんを釈放し、圭さんの嫌疑も晴れた。岡安巳太郎は気がすこし鎮まったところで、色々と訊問をうけたが、電気的知識に乏しいばかりか、大きい恐怖さえ感じている岡安に、電気殺人ができる筈はないというので、犯人たるの嫌疑は薄くなった。それに係官は彼のために、電気看板が瞬くように見えるのも、その途端に電気抵抗のすくない人体の方へ電気が流れるため、電気看板の方には電気が通らぬこととなり、それで一寸消えるのだと説明してやっても彼には、サッパリ理解がつかなかった。