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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

すると鳩は、また鳩つかいの耳のなかを、くちばしでもって、ちょっちょっとつきました。

「ああそうですか。そこにぶらさがっている万国旗の右から三番目のいろ――というと……」

と、鳩つかいは、ぶたいにはりまわしてある旗をみまわしました。右から三番目は、ブラジルの旗でした。

「ああ、ブラジルの旗ですね。この旗のいろは青ですね。すると青子さんかしら」

すると、見物人はこえをそろえて笑いだしました。青子なんてめずらしい名だからです。

「青子はおかしい。もっと、はっきりおしえて下さい。なに、青ではない緑だというのですか。なるほど、ミドリさん。ミドリさんとは、じつにかわいいお名前ですね」

「あたったわ」

なんというかしこい鳩なのでしょうと、ミドリは、かんしんしてしまいました。見物人は、また、手をたたいて鳩をほめました。

見物席では兄の高一だけが、おこったような顔をして、鳩つかいをにらみつけています。

「さあさあ、そこでついでにもうひとつ、この鳩をつかってすばらしい魔術をごらんに入れましょう」

といって印度人は、おくの方に合図をいたしました。するとおくから、こどものからだが入るくらいの大きさの、美しい箱をかついできました。