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でんきばと
電気鳩
海野 十三
「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页
その箱は二つでした。それをぶたいにならべました。さあ、これからどんなことがはじまるのでしょうか。
鳩つかいは、まず、ひとつの箱のなかに、金色のすじの入った鳩を、かごごと入れました。
それから、こんどはミドリの手をとって、
「さあお嬢さんは、こっちの箱へ入ってくださいね。なんのこわいことがありましょう」
ミドリが箱のなかに入ると、鳩つかいは急ににこにこして、
「まず、箱のふたをしめます」
と、両方の箱のふたをかたんとしめ、
「さあ、たしかにこっちの箱には、世界一のかしこい鳩がはいり、こっちの箱には、かわいいお嬢さんがはいりました。ところが、私が気合をかけますと、ふしぎなことがおこります」
えいっと、気合をかけて、ミドリのはいっていた箱のふたに手をかけました。
きえた妹
鳩つかいはにやりと笑って、ミドリのはいっていた方の箱のふたをあけました。
「あっ」
と、高一の口から、おどろきのこえがとびだしました。なぜといって、たしかにミドリがはいったにちがいないその箱のふたをとってみると、そこに、ミドリのすがたがないのです。そして、そのかわり金色のすじのある鳩がはいっているではありませんか。