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でんきばと

電気鳩

海野 十三

「幼年倶楽部」大日本雄弁会講談社、1937(昭和12)年8月~1938(昭和13)年4月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 25,465 字 · 52 页

青空文庫

高一は、早口に妹の名をよんでみました。

そのとき、つみかさねてあった荷物が、がさがさとうごきだしました。

「あっ兄ちゃん。あたしはここよ」

帆布がまるめておいてありましたが、その中から、とつぜん、なつかしい妹ミドリのこえがしたものですから、高一は、

「おお、ミドリちゃん。よくまっていてくれたね。いまたすけてあげるよ」

と、かけよりました。帆布をのけていると、その下にかわいそうなミドリが、手足をくくられてつながれていました。高一は、わる者どもの、にくいやりかたにはらをたてながら、つなをほどいてやりました。そして、きょうだいは、ひさしぶりに、たがいに手と手をとりあったのです。うれしさに、なみだが、あとからあとからわいてきて、きょうだいは、はじめのうちは、おたがいの顔をよく見ることができませんでした。

「ぐずぐずしていてはたいへんだ。ミドリちゃん、すぐ、にげよう」

高一は、妹をひったてるようにして、テントの外にのがれました。そして、電気鳩を砂のなかからほりだし、それを、ゴムびきのかっぱにつつんでわきにかかえました。

「兄ちゃん、どこへにげるの」

「船にのって、すこしでも早く、この島からにげだすのだよ。