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れいかん
霊感
豊島 与志雄
「中央公論」1952(昭和27)年1月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,268 字 · 31 页
「それで分りました。そのミロクさんは、御近所の土地の火伏せの神です。近々のうちに火事が起るかも知れませんから、大事にならないよう、お詣りをなさいませ。お塩とお米をお供えなさるだけで、結構です。なるべく皆さん大勢で、お詣りなさったが宜しいでしょう。うち捨てておかれては、災難が起ります。わたくしも、近日、お詣りしてあげましょう。」
それでほっと息をついた様子で、A女は頬笑み、姿勢をくずして、ふだんの親しい調子に戻りました。
江口さんはなお、いろいろ相談しました。A女は助言してやりました。それから他愛ない世間話となりました。
ところで、江口さんが住んでいる家というのが、戦争前は下宿屋でもしていたらしい大きな家で、室がたくさんあって、十近くもの家族が住み、それぞれ自炊しているのです。
身禄さんのことを江口さんは気にかけて、吹聴して廻りました。A女のことは堅く口止めされていました故、ただ漠然とどこからともなく聞いてきたことにして話しました。すると、だいたい三つの説にわかれました。そういうことならまあお詣りをしておこう、という当り障りのないのが一つ。そのようなことはどうでも宜しい、という無関心なのが一つ。