轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

きりのなか

霧の中

豊島 与志雄

――「正夫の世界」――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 19,920 字 · 40 页

青空文庫

そして頭部の、いわば竹の簀子の円筒の中に、も一つ竹の簀子の漏斗形がとりつけてある。魚がその漏斗形のところから中にはいると、そこから逆に外に出ることはむずかしく、他に出口はなく、全くその中に囚えられてしまう。そのウケを、魚の通路につけて、そこからだけ水を通し、他は水草や泥でせき切ってしまうのである。

おもに水田と川との間の、畦の一部を切りとった水口に、ウケをつけるのだ。魚は習性として、夕方、いくらか暮れはじめる頃から、水田の中に餌をあさりにはいってゆく。そして朝早く払暁の頃に、多くはまた川に戻ってしまう。それ故夜になって、水口にウケをつけに行くのだ。水の流れが、田から川へか或は川から田へか、それは問題でない。田から川へ戻る魚がはいる向きにウケをつけておく。それを早朝、まだ朝日のささない頃に、引上げに行くのだ。

昼間ぶらぶら歩きまわって、魚のいそうな場所を物色し、そこの田の水口を一杯あけ放っておけば殊によい。

手頃な大きさのウケを二つばかりかついで、夜の九時頃出かける。闇夜が最もよいのだ。闇夜といっても、水の面はほんのり白い。それをたよりに、草深い小道をすたすたやって行く。