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つゆのこたえ

露の答

坂口 安吾

ぬばたまのなにかと人の問ひしとき露とこたへて消なましものを

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,237 字 · 14 页

青空文庫

行政事務は各※(二の字点、1-2-22)専門の次官にまかせ大風呂敷をひろげて天下国家をコンパスでひいた円のように自在又流暢にあつかっております。

組閣当初の約束などはどこへ消えたか影も形もない有様に、世話人は慌てました。この世話人と特に親交のあったのが加茂五郎兵衛です。

そこで五郎兵衛は総理に面会して、あの約束はどうなったか、早々実現してくれろ、と掛合う。もとより大人物のことですから、ウム、約束は実現せなければいかんのである、と言って一も二もなく思い出してくれる。それのみにとどまらず、その方面の大臣が又言うまでもなく大人物で、ウム約束ならば実現せなければいかんのである、と之又屈託がない。そこで次官と折衝する、次官は専門の行政官ですから頭の中には机の抽斗だの書類だのが充填しております。大いに驚いて、そんなことが君できるものか、と最後的見幕を以て開き直ってしまった。

生憎この約束は内閣の公約した政策と全然反対のものであった。とはいえ、そこは大人物の内閣で、右から左へ曲るぐらいにこだわる量見はないのですから、光風霽月と申しますか、水従方円器と申しますか、明鏡止水の心境です。