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せいしゅん

青春

宮本 百合子

「婦人朝日」1940(昭和15)年3月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,799 字 · 16 页

青空文庫

それは先生が若い学生に向っていう言葉だけれど、若い女のひとにとってもそれはあてはまる言葉ではないだろうか。女のひとの方が男よりそういう感情をぼんやりしか感じないのが普通かも知れないが、自分の十五六歳から後の心持を思い出すと、やっぱりそれを触れたところをもっていると思う。華やぎながら淋しがっている。淋しさのうちに華やぎが底流れているとでもいおうか。

若々しい寂しさについても私たちの時代と今の同じ年ごろの若い女のひとたちとでは、随分ちがって来ているのではないだろうかと思う。私たちの頃は、自然が体も心も多彩にひろがろう、触れよう、知ろうという欲望に燃え立たせているのに、周囲の習慣はなかなかそれだけのびのびしていなくて、いつも鬱屈するものがあった。今のひとは、いざとなると同じ埒で阻まれながら、表面の浅い日常では一応自由そうに羽根をのばしている。そこにまた別の寂しさが湧いているのではないだろうか。求める心の寂しさ、ときめきと感じられていたものが、今は何か空虚さの感覚に近づいて来ているのではないだろうか。

それは社会が若い女に与えている自由が代用品であることから生じている悲劇であるが、私たちの女学校時代を考えると、大人と少女とはその生活感情を露骨に対立させられていたものだと思う。