轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

あおだけ

青竹

山本 周五郎

「ますらお」大陸講談社、1942(昭和17)年9月

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 14,622 字 · 29 页

青空文庫

……濛々たるつちけぶりがその死闘の集団を押しつつんでいた。つちけぶりのなかに斬りむすぶ太刀が光り、槍の穂がひらめいた、影絵のようにいり乱れる兵馬、すさまじい叫喚と呶号が天にどよみあがった。悪戦苦闘とはまさしくこのことであろう、兵はしだいに討たれ、敵の攻撃はいささかもゆるまなかった。そしてこの惨憺たる一角に、ひとつの差物が微動もせずはためいていた、「墨絵かぶら」のさしものである、数珠を描き添えた墨絵かぶらの差物は一歩も動かなかった。

それは不退転の象徴だった、悪鬼羅刹の旗じるしともみえたのである。

余吾の隊士はほとんど全滅した。しかし多くのばあい戦の成敗は微妙なある瞬間に懸っている、全滅を期した源七郎の戦気が、ついに敵の鋭鋒を挫くときがきた。そして敵兵の足なみが鈍るとみえたとき、そのときに前田利常と片桐かつもとの軍が怒濤の如く突っこんで来た、この二隊は源七郎の確保した攻撃路をひた押して、天王寺口へとむにむさんに斬っていった。大阪軍前衛の大きな拠点たる天王寺口のまもりは、かくして前田片桐その他の諸隊によって、確実に攻め破られたのであった。

大阪城が落ちたのはその翌八日のことだった。