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あおだけ

青竹

山本 周五郎

「ますらお」大陸講談社、1942(昭和17)年9月

N1 · 挑战 · 新字新假名 · 14,622 字 · 29 页

青空文庫

八

かくてその日の審問は閉じられた。

八

源七郎の賞罰は間もなくきまった。掟に触れた罪によって食禄半減、しかし天王寺の攻め口を死守した功に対して五百石の加増があった。かれの元高は七百石になっていたので、つまるところ八百五十石に増したわけである、なお間もなく旗奉行にとりたてられた。逼塞をゆるされて、源七郎がひさかたぶりに屋敷の門をひらいた日のことである、まえぶれもなく、竹岡兵庫がおとずれて来た。……残暑の頃にはめずらしく涼しい秋風の吹く日で、狭い庭さきには芙蓉の白い花がしずかに揺れていた。

「こう膝をつき合せて話すのは絶えてひさしいことだな」客間に対座すると、兵庫はめっきり皺のふえた顔に元気な笑をうかべながら云った。

「さようでございます、佐和山でおまねきにあずかりました以来でございましょうか」

「あのときは馳走損であったよ」からからと笑ってから、兵庫はいかにも不服そうな調子で、

「余吾、おぬしは妙な男だな」と云いだした。

「なんでございますか」

「せんじつお裁きのおりなぜ申開きをしなかったのだ、殿にも罪を軽くするおぼしめしでいろいろ御苦心あそばしたごようすではないか、それを知らぬ顔で、わざわざ罪を求めるような答弁をする心底がわからぬ、いったいおぬしはどういう考えでいたのだ」