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めんかい
面会
織田 作之助
「大阪銃後ニュース第十号」1940(昭和15)年7月25日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 1,771 字 · 4 页
ある朝、一通の軍事郵便が届けられた。差出人はSという私の旧友からで、その手紙を見て、はじめて私はSが応召していることを知ったのである。Sと私は五年間音信不通で、Sがどこにどうしているやら消息すらわからなかったのである。つまりその軍事郵便は五年振りに見るなつかしいSの筆蹟をあらわしていたのだ。しかも、それによれば、Sは明日第一線へ出発するというのである。××港から船に乗り込む前の二時間ばかり、××町の東三〇〇米の地点で休憩するから面会に来てくれというSの頼みをまつ迄もなく、私はSを見送る喜びに燃えた。
その前夜から、雨まじりのひどい颶風であった。面会の時間はかなりの早朝だったから、原稿を書く仕事で夜ふかしする癖の私は、寝過さぬ要心に、徹夜して朝を待つことにした。うっかり寝てしまうと、なかなか思った時間に眼が覚めないと心配したからだ。雨も風も容易に止まなかった。風速十三米と覚しき烈風が雨を吹き上げていた。家の前の池は無気味な赤さに鳥肌立っていた。だんだんに夜が明けて来ると、雨の白さが痛々しく見えて、私はS達の雨中の行軍を想いやった。
朝、風に吹き飛ばされそうになりながら、雨襖を突き進んで、漸く××町の東三〇〇米の馬繋場にやって来ると、既に面会の時間が始っていて、兵隊達はそれぞれの見送人の傘の中で慌しい別れ