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おんがくかいのめいしん

音楽と生活 兼常清佐随筆集

兼常 清佐

兼常清佐『音楽と生活 兼常清佐随筆集』。同一底本的分册已合并为一书。收入:音楽界の迷信、勝太郎、久野女史をいたむ、ニッポン音楽、流行唄、レコード蒐集。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 29,475 字 · 61 页

青空文庫

ガリクルチが綺麗だと言うであろう。しかし、それだから即ち『追分節』が美しくなくて勝太郎が綺麗でないとは言われない。それは話が別である。

勝太郎レコードの声はかなり綺麗である。実際の声はどうだか知らないが、電気装置で煮たり焼いたりした末にレコードとなって出て来る声は、柔かで豊かで潤いがあって、聞いていて甚だいい気持である。レコードの事だからよくわからないが、まず大体で as あたりから d' あるいは d'b あたりまでが普通の声らしい。その間で曲によって多少音階を移調することも出来るようである。『大漁節』と『下総盆踊』とはその一例である。そして声は e''s くらいになると、もはや多少の工風がいるらしい。アルトとしても音域の広い方ではないが、それでも少し練習すれば普通のリードにはさしつかえなくなるであろう。話に聞くと有名な四家夫人がラジオで『越後獅子』とかを唄って大いに喝采を博した事があるそうである。それなら今度は勝太郎が『菩提樹』でも唄って、あっと言わせる番である。――もちろん、これは冗談である。しかし、もし私が勝太郎だったら、そんな事は四家夫人のやらない前に必ずちゃんとやってのける。