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かぜしちだい

風七題

小川 未明

「子どもの村」1948(昭和23)年7月

N4 · 入门 · 新字新假名 · 2,377 字 · 5 页

青空文庫

四

五

四

夏の晩方のこと、いなか町を、馬にから車をひかせて、ほおかむりをした馬子たちが、それへ乗って、たばこをすったり、うたをうたったりしながら、いく台となくつづきました。

ガラッ、ガラッと、そのわだちのあとが、だんだん、遠ざかった時分、こんどは、ドンコ、ドンコと、たいこをたたいて、町の中を、旅芸人をのせた、人力車が、列をつくって、顔見世に、まわりました。

あかね色をした、夕空には、火の見やぐらが、たっていました。そのいただきに、ついているブリキの旗が、風の方向へ、まわるたびに、音をたてました。

湯屋から、手ぬぐいをぶらさげて、出てきた、おじいさんが、上をあおいで、

「ああ、北風か、あすもお天気だな。」と、ひとりごとをしました。

また、往来では、子どもたちの、たのしそうにあそんでいるわめき声がしていました。

五

すこしの風もなく、木の葉も、じっとしてうごかず、まるで湯の中にひたったような、むしあつい晩でありました。みんな、うちにいられぬとみえて、外で話し声がしました。わたしも出てみると、みんなが、あちらのすずみ台へあつまって、うちわをつかっていました。

わたしも、そこへいって、こしかけました。