轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
ふうちそう
風知草
宮本 百合子
「文芸春秋」1946(昭和21)年9~11月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 44,107 字 · 88 页
いろいろの大衆的集会も活気にみちてもたれていて、一九四五年の冬は、日本の民主主義の無邪気な発足の姿であった。
木枯の吹く午後おそく、ひろ子は、前後左右ぎっしり職場の若い婦人たちで埋った講堂で、ニュース映画を観ていた。それは「君たちは話すことが出来る」と云う題であった。十月十日に、同志たちが解放される前後を中心として、治安維持法と、その非道な所業、その法律の撤廃を描いた映画であった。山本宣治を殺して出来た治安維持法が、小林多喜二を虐殺し、渡辺政之輔その他たくさんの人々を犠牲とした。小林多喜二が命を失ったときの顔が大うつしにされたとき、ひろ子は総毛だって涙をためた。ひろ子は、この顔を自分の眼で見た。小林のおかあさんは、この息子の顔の上に身をなげふせて、優しく優しくこめかみの傷を撫でながら、どんなに泣いたろう。あんちゃん、どげにきつかったろうなあ、そう云って撫でては泣いた。
その治安維持法によって獄につながれている人々の、生活ぶりが、薄暗いのぞき穴をとおしてうつされた。やがて、この悪法は撤廃されることになって、画面に一つの力づよい手が現れて、特高と書いた塗札をひきむしった。