轻松读懂日语经典作品
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かぜたちぬ
風立ちぬ
堀 辰雄
序曲、風立ちぬ「改造」1936(昭和11)年12月号、冬「文藝春秋」1937(昭和12)年1月号、春「新女苑」1937(昭和12)年4月号、死のかげの谷「新潮」1938(昭和13)年3月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 54,998 字 · 108 页
「あの男の番だったのか……」第十七号室の患者が死んでからというものすっかり神経質になっていた私は、それからまだ一週間と立たないうちに引き続いて起ったそんな思いがけない死のために、思わずほっとしたような気持になった。そしてそれは、そんな陰惨な死から当然私が受けたにちがいない気味悪さすら、私にはそのために殆んど感ぜられずにしまったと云っていいほどであった。
「こないだ死んだ奴の次ぎ位に悪いと言われていたって、何も死ぬと決まっているわけのものじゃないんだからなあ」私はそう気軽そうに自分に向って言って聞かせたりした。
裏の林の中の栗の木が二三本ばかり伐り取られて、何んだか間の抜けたようになってしまった跡は、今度はその丘の縁を、引きつづき人夫達が切り崩し出し、そこからすこし急な傾斜で下がっている病棟の北側に沿った少しばかりの空地にその土を運んでは、そこいら一帯を緩やかななぞえにしはじめていた。人はそこを花壇に変える仕事に取りかかっているのだ。
※(アステリズム、1-12-94)
「お父さんからお手紙だよ」
私は看護婦から渡された一束の手紙の中から、その一つを節子に渡した。