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ふうせんむし
風船虫
小川 未明
「児童文学」1936(昭和11)年9月
N3 · 进阶 · 新字新假名 · 1,983 字 · 4 页
その穴は、このあいだ、みんながボールをして遊んでいると、ペスがきて、しきりに前足で掘っていたところでした。
年ちゃんが、水の中を見ると、黒い虫が、五、六ぴきも底の方を往ったり、きたりしていました。
「これが、風船虫なの?」
「ああ、風船虫だよ。」
「君は、釣りにいかなかったのかい。」と、年ちゃんが、誠くんに聞きました。
「きょうは、早くお湯に入って、お母さんとお使いにいくのだから。」と、誠くんは、いかない理由を、語りました。
「僕、風船虫をお家へ持っていこうかな。」
「ああ、二人で分けようよ。」と、誠くんがいいました。
そこで、年ちゃんと、誠くんは、紙片の中へ虫を半分ずつ分けて、二人は、めいめいお家へ持って帰ったのであります。
年ちゃんは、風船虫をサイダーの空きびんの中へ入れました。そして、小さく紙を切って、水の中へ落としました。すると、風船虫は、紙片の沈むのを見て、急いでそれにつかまりました。そして、いっしょに下へ沈んでしまうと、今度は、自分の体を浮かしにかかったのです。すると、紙片が、ずんずんと下から上へ引き上げられてきました。やがて水の上まで着くと、風船虫は、紙を放しました。