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しょくりょうめいい
食料名彙
柳田 国男
「民間傳承八卷二號~八號」1942(昭和17)年6月~12月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,898 字 · 61 页
カチイモ
ケイモ
ワンナ
カチイモ 静岡県気多の山村などでカチ芋というのは、普通の里芋、この辺でエゴ芋というものの乾したのである。最初に一度蒸し、火棚へ上げて十分乾燥させてから、臼で搗いて外皮を去ったもの、すなわちこのカチは搗栗のカチであった。俵につめて何俵となく貯蔵し、五十年前まではこれがこの地方住民の主たる食糧であった。今も堅い家では若干はこれを続けている。
ケイモ 宮崎県の一部には、里芋をそう呼ぶ処がある。ケ芋のケはハレに対するケ、すなわち日常用ということで、以前はこの芋が単なる副食物でなかったことを推測せしめる。
ワンナ 千葉、茨城二県の農村で、芋殻一名ズイキの乾したのをワンナといっている。今では語原を知る者はないが、割菜であろうと思う。多くのナの中でこの物だけが、裂いて細くして食べるものだった時からの名と見られる。備中の笠岡あたりでは、産後いちばんの食物は白味噌の汁にズイキを入れたもので、これをワリナと呼び、古血を下す効があるといっていた。紀州の熊野の太地辺でも、旧十月十五日のこの神祭の供物には、この割菜と鯨の皮とを入れた味噌汁を、今でも必ず供えることにしている。ワンナもおそらくは乾して貯えるものに限らず、以前はもっと弘く用いられた食料だったらしい。