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きがちたいをあるく

飢餓地帯を歩く

下村 千秋

――東北農村惨状報告書――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 15,478 字 · 31 页

青空文庫

「あっちだべえし」と言った。

私はこの時、つくづくとこの子供達の着物を見た。それは縞目も解らない真黒のもので、また実にひどいぼろであった。私も、貧乏百姓の子供達と一緒に、ぼろにくるまって育ったのであるが、これほどのぼろではなかった。冬になれば、木綿ではあったが、シャツも股引もはいた。が、この子供達は雪が降っているというのに、シャツも着ていず、足袋もはいていなかった。そして、女の子は、脛だけをくるんだ赤い布の股引をはいているきりであった。

私は、ふと、台湾の生蕃人を想い出した。生蕃人もその脛に赤い布の脚絆をはいていたからである。こればかりではない。この子供達のぼうぼうに乱れた頭髪、いつ風呂に入ったか解らないような真黒けな手や足を見ても、生蕃人を聯想せずにはいられなかった。これは、単に今年の凶作のためばかりではなく思われた。今までの彼等の生活が、こうなのだろうと思われた。で、私は、間もなく小学校を訪ねて、その校長に会うといきなり質問したのである。

「この地方の百姓達は、あれほどまでに原始的の生活をしているのですか?」

「さようです」校長は、顎一ぱいに生えらかした髯をざらざらと撫でながら答えるのである。