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しゅせきとばっせき

首席と末席

佐々木 邦

「雄弁」大日本雄辯會講談社、1927(昭和2)年1月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 7,378 字 · 15 页

青空文庫

尤もこれは迚も駄目と丈けは薄々気がついたから、横浜の寺島君のところへ相談に行った。

「面白いかい?」

と訊いたら、

「面白いことはないが、イエスとノウ丈けで片付く仕事だから極く楽だ」

とあった。そこで私は或日ジョーンズ博士を訪れて、

「先生、私を横浜の商館へお世話願えませんでしょうか?」

と頼み込んだ。

「勿体ないです。君は金を扱う人でないです。矢張り青年を扱って同胞に仕えるのが神さまの思召です。迷っちゃいけません」

と博士は教えてくれた。神さまの意思と信じたら、この先生は梃でも動かない。私はもう取りつく島がなかったから、又少時待った後翌年の正月に土佐へ赴任することに定めた。既に同期卒業生は四国九州北海道へ散っていた。彼等は皆、

「こんな遠いところへ来るくらいなら、追加卒業生になって横浜へ行けば宜かった」

という意味の手紙を寄せた。私も土佐の国へ上陸した当座、

「成程、こんな鉄道の一寸もないところへ来るくらいなら、末席になって追加卒業にして貰いたかった」

と痛切に感じた。

爾来二十有余年、私は教諭心得、教諭、教頭として田舎廻りを続けている。愚痴になるから言うまい。