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こうげん

高原

木暮 理太郎

「山」1934(昭和9)年10月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,921 字 · 10 页

青空文庫

例えば雪嶺附近や鶴長項、黄土岩附近のものは、二千米を下らない高さで広袤十二キロにも亙っていて、斯様なものが尚他にも二、三ある。湿原なども茂山郡三社面に在るものは、高さ千七百米で長さ十六キロ幅三キロに及んでいる。全く呆れたものだ。尤も高原も湿原も大部分は森林に掩われているらしく、又広きに過ぎて単調かとも想われる。しかし単調もこうなれば偉大である。台湾に於ても亦高原といえば、殆どこの類の者に限られているらしく思える。而も高度が大きく、二千米から三千米を超え、中には南湖大山のように三千四百米前後のものさえあるが、高原としては概して狭く、且つ二千米程度のものは木立が繁っているようである。

とはいうものの私は、裾野に於ける高原の秋色が忘れられない。八ヶ岳の裾野のように黄蓮華、躑躅が原を彩り、藤の房が垂れ、鈴蘭が匂い、桜草が咲き、鶯が囀り、郭公が鳴いている晩春の風情も情緒ゆたかなものであるが、高く澄み透った空にふさわしい、今年の最後を飾る寂しくも華やかである高原の色どりに、限りなき感興を覚えるのである。

(昭和九、一〇『山』)