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こうげん
高原
木暮 理太郎
「山」1934(昭和9)年10月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,921 字 · 10 页
単に風情を添える程度であって欲しい。原が鬱蒼たる樹林に蔽われてしまっては、最早地勢上高原であるに止まり、其真面目は失われて、森林としての存在のみが強調されること、恰も富士の青木ヶ原の如きものとなるであろう。この例は八ヶ岳の裾野では割合に少ないが、小規模のものならば各所の山地に見られる。殊に吾妻山彙には多くの森林化した平があるように思った。奥羽の山になると森吉山や八幡平の如き大規模のものがある。概して東北の山にはこの傾向が多いようである。
高原の広さに就ても或る限度が必要であるかと想われる。余りに狭くてはもとより問題とならないが、又余りに広いと高原というよりも曠野という感が強くなる。富士にしても八ヶ岳にしても、又は浅間の六里ヶ原にしても、私はいつの間にか広い野原を歩いているという気持に支配されて、高原という感じが次第に失われて行くことを禁じ得ないのは、恐らく先入主となった裾野という名に囚われて、これを振り捨てることが出来ない為ででもあろうか。これは私の感じであるから、間違っているといわれても承服し難いのは是非もない。詮ずる所は私の希望している高原との距離がまだ少し遠過ぎることに原因するものである。