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おに

鬼

江戸川 乱歩

「キング」大日本雄弁会講談社、1931(昭和6)年11月、1932(昭和7)年1月~2月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 30,138 字 · 60 页

青空文庫

彼は「小説家はこれだから困る」と呟きながら、殿村のあとについて小学校の門を出た。

番小屋に着くと、今小学校へ呼ばれて帰ったばかりの仁兵衛親子は、又取調べを受けるのかと、オドオドしながら二人を迎え入れた。

「小父さん、さっきのホラ、藁人形を見せてほしいのだよ」

殿村が云うと、仁兵衛爺さんは妙な顔をして「アア、あれですかい」と裏の物置小屋へ案内して呉れた。

ガタピシと板戸を開けると、薪や炭を積んだ小暗い物置の隅っ子に、人間程の大きさの藁人形が、いかめしく突立っていた。

「ナアンだ、案山子じゃないか」

国枝氏があきれた様に云う。

「イヤ、案山子じゃない。こんな立派な案山子があるもんか。仲々重いのだよ、呪いの人型だよ」

殿村はあくまで生真面目だ。

「で、この藁人形が、今度の殺人事件にどんな関係があるというの?」

「どんな関係だか、僕にも分らない。併し無関係でないこと丈けは確だよ。……小父さん、この人形を見つけた時のことを、もう一度、この人に話して上げてくれないだろうか」

すると仁兵衛爺さんは、予審判事に小腰をかがめて、話し始めた。

「丁度五日前の朝でございました。村へ用達しがあって、あの大曲り……ホラ、鶴子さんの死骸が倒れていた線路のカーヴのところを、わしら『大曲り』