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うおとはくちょう

魚と白鳥

小川 未明

「童話」1924(大正13)年3月

N3 · 进阶 · 新字新假名 · 3,956 字 · 8 页

青空文庫

「ほんとうに、早く、春がくるといいな。」

と、子供は、お友だちに向かっていいました。

「春になると、水の上が一面に明るくなるということだから、よくわかるね。」

と、友だちは答えました。

「いったい、水の上から、上は、どんなところだろうか? 見たいものだね。」

「水の上へ浮かんで泳ぐと、空というものが見えるそうだ。その空に、太陽も輝けば、夜になると、月も出るのだということだよ。」と、友だちは、だれからか聞いたことを語りました。

ある夜のこと、水の上が一面に明るくなりました。子供は、今度こそ、春になったのだと思いました。そして、友だちといっしょに母の許しも得ずに、勇気を出して、上へ、上へと浮かんでみました。

「僕たちは空を見よう。」

「月を見ようね。」

こう彼らは、途中、希望に輝く瞳を上に向けて、語り合いました。

みんなは、とうとう上へいって、頭を堅いものに打ちつけてしまいました。

「なんだろうね?」

と、一人が叫びました。

「ああ、わかった。空に、頭をぶっつけたんだ。」

と、友だちの一人はいいました。

「どこに、月があるのだろう……。」

「きっと、どっかに隠れているんだよ。