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かいじんじゅうまんかん

魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編

内田 魯庵

内田魯庵『魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:灰燼十万巻、文明国には必ず智識ある高等遊民あり、駆逐されんとする文人、二十五年間の文人の社会的地位の進歩。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,671 字 · 55 页

青空文庫

に款待やされていた。

二十五年前には外山博士が大批評家であって、博士の漢字破りの大演説が樗牛のニーチェ論よりは全国に鳴響いた。博士は又大詩人であって『死地に乗入る六百騎』というような韻文が当時の青年の血を湧かした。

二十五年前には琴や三味線の外には音楽というものが無かった。オルガンやヴヮイオリンは学校の道具であって、音楽学校の養成する音楽者というは『蛍の光』をオルガンで弾く事を知ってる人であった。音楽会を開いて招待しても嘆願しても聞きに来る人は一人も無かった。

二十五年前には日本の島田や丸髷の目方が何十匁とか何百匁とかあって衛生上害があるという理由で束髪が行われ初め、前髪も鬢も髦も引詰めて小さく結んで南京玉の網を被せたのが一番のハイカラであった。

二十五年前には「国民之友」が漸く生れたばかりで、徳富蘇峰氏が志賀、三宅両氏と共に並称せられた青年文人であった。硯友社は未だ高等学校内の少年の団体であって世間に顔出ししてなかった。依然として国文及び漢文が文学の中堅として見られていた。

二十五年前には今の日比谷の公園の片隅に、昔の大名の長屋の海鼠壁や二の字窓が未だ残っていた。