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かいじんじゅうまんかん
魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編
内田 魯庵
内田魯庵『魯庵の明治 山口昌男、坪内祐三編』。同一底本的分册已合并为一书。收入:灰燼十万巻、文明国には必ず智識ある高等遊民あり、駆逐されんとする文人、二十五年間の文人の社会的地位の進歩。
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 27,671 字 · 55 页
夫故、国会開設が約束せられて政治休息期に入っていた当時、文学に対する世間の興味は俄に沸湧して、矢野とか末広とか柴とかいう政治界の名士が続々文学に投じて来たが、丁度仮装会の興に浮れて躍り狂っていたようなもので、文人其者の社会的価値を認めたからではなかった。であるから政治家の変装たるヂレスリーの亜流を随喜しておっても、真の文人たるヂッケンスやサッカレーに対しては何等の注意を払わなかった。当時の文学革新は恰も等外官史の羽織袴を脱がして洋服に着更えさせたようなもので、外観だけは高等官吏に似寄って来たが、依然として月給は上らずに社会から矢張り小使同様に見られていたのである。
坪内氏が相当に尊敬せられていたのは文学士であったからで、紅葉や露伴は如何に人気があっても矢張り芸人以上の待遇は得られなかったのである。団十郎が人に褒められても「役者にしては意外な人物だよ、」と云われた通りに、紅葉や露伴の感服されたのも「小説家にしては――」という条件付きであったのである。
三文文学とか「チープ・リテレチュア」とかいう言葉は今でも折々繰返されてるが、斯ういう軽侮語を口にするものは、今の文学を研究して而して後鑑賞するに足らざるが故に軽侮するのではなくて、多くは伝来の習俗に俘われて小説戯曲其物を頭から軽く見ているからで、今の文学なり