轻松读懂日语经典作品
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はとつかい
鳩つかひ
大倉 燁子
「富士 九巻八号」1936(昭和11)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,680 字 · 30 页
果して今朝の出来事が大きく出ている。犯人を見たという学生の写真をじっと見詰めていたが、やがてにっこり笑うとそれをポケットに押し込んだ。
病院の薄暗い廊下の曲り角で一人の婦人に出遇った、それは思いがけない岩城文子であった。彼女はにこやかに会釈して、
「杉山さんはとんだご災難で――、夕刊を見まして吃驚したんですの、それでちょっとお見舞に出ました」と言った。手には美事な花束を持っていた。
「杉山氏は面会謝絶で会えませんよ」
「まア、そんなにご重態なんですの?」と声を落して心配そうに眉をよせ、「赤星さん、直ぐお帰りになりますか、私この花束だけをお届けしてまいりますから、ちょっとお待ち下さいません? 杉山さんのことでお話もありますから――」と云い捨てて病室の方へ急いだ。
赤星が長い廊下をぶらぶら歩いていると岩城文子は直きに引返して来た。
「犯人を見た人があるそうで、私ホッといたしました。どうぞ赤星さん、一日も早く逮捕して下さいませ。先刻天華堂さんとも話し合ったのですが、こんな事が度々あると私共の商売はあがったりですわ、ほんとに困ってしまいますのよ」
「よく分っています」