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はとつかい
鳩つかひ
大倉 燁子
「富士 九巻八号」1936(昭和11)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,680 字 · 30 页
赤星は怒鳴った。
「貴様、唖の権だな」
権はナイフを振りかぶって向って来たが、忽ち組み敷かれ、両手を縛り上げられた。
一人の刑事が飛んで来て、
「アッ、危ぶない!」赤星の体を押し退けた、途端、ピストルの音がして、弾丸が彼の耳をかすった。
男は狂気のようになり、無茶苦茶に、弾丸のあるったけを続け射ちにぶっ放した。一人の刑事は腕を傷けられ、一人は膝を撃たれた。が、やがて男も血に染って倒れた。
こうなっては権も偽唖をやってはいられない、大声を揚げて罵り喚き立て、怒鳴り散らしながら暴れている。赤星は俯伏せに倒れている男を抱き上げて顔を見たら、眼の下に大きな青い痣があった。
これが犯人?
即ち鳩つかいなのだろうか?
がっちりした四角な肩や太い首筋には見覚えがあった、あの怪しい大型自動車の運転手には違いないが、あの時窓からすうっと出た白い手は無論この男のものではない、すると真犯人はこの二人の他にあるのだ。
「権、この野郎は親方か?」と死体を指して赤星が言った。
「親方なもんか、これや青痣の吉公ッて奴だ。親方は別にあらア」
「親方は何んて奴だ?」
「知らねえよ」
「どこにいるんだ? 白状しろ!」