轻松读懂日语经典作品
ja-reading.com
轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。
なるとひちょう
鳴門秘帖
吉川 英治
03 木曾の巻
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 56,957 字 · 114 页
坂の中途に立ち止まって、汗ばむ胸へ手拭を入れた。そこからはるかに見渡すと、漠とした雲の海に加賀の白山が群巒をぬいて望まれる。
「いいえ、阿波へ越えて剣山まで行き着こうというのですもの、これくらいな所でくたびれてしまってどうなるものじゃありませんよ」
「そうよな、まだほんとうの難所はこれから先だ、血の池があるか針の山が待っているか、どっちにしても命がけの……」そういいながら、まだどれほどの登りだろうかと、もちの木坂の勾配を見上げると、その中途に、名古屋へ出る裏街道の辻があって、目印の七本松がそびえている。
深山笹に夕風がそよいで、ひと足ごとに落日の紅耀がうすれてゆく。ぶらぶら上ってその辻まできてみると、椿と藪に埋まって西行法師の歌碑があり、それと並んで低い竹垣根を結い廻した高札場がある。みると、宿役の布告や、何者かの人相書や、雑多なものがベタベタと貼りつけてあるが、目につくのはその側に、別に立っている生新しい一本の立札。
なにげなく立ち寄った万吉、読み下してみてサッと色を変えた。それは二人がこれから指して行こうとする垂井の国分寺から出た寺触で、春の道者船停止の沙汰が公示してある。