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がちょう

鵞鳥

幸田 露伴

「日本評論」1929(昭和14)年12月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 11,335 字 · 23 页

青空文庫

まして君なぞ既にいい腕になっているのだもの、いよいよ腕を磨くべしだネ。」

戦闘が開始されたようなものだ。

「イヤ腕を磨くべきはもとよりだが、腕で芸術が出来るものではない。芸術は出来るもので、こしらえるものでは無さそうだ。君の方ではこしらえとおせるかも知れないが、僕の方や窯業の方の、火の芸術にたずさわるものは、おのずと、芸術は出来るものであると信じがちだ。火のはたらきは神秘霊奇だ。その火のはたらきをくぐって僕等の芸術は出来る。それを何ということだ。鋳金の工作過程を実地にご覧に入れ、そして最後には出来上ったものを美術として美術学校から献上するという。そううまく行くべきものだか、どうだか。むかしも今も席画というがある、席画に美術を求めることの無理で愚なのは今は誰しも認めている。席上鋳金に美術を求める、そんな分らない校長ではないと思っていたが、校長には校長の考えもあろうし、鋳金はたとい蝋型にせよ純粋美術とは云い難いが、また校長には把掖誘導啓発抜擢、あらゆる恩を受けているので、実はイヤだナアと思ったけれども枉げて従った。この心持がせめて君には分ってもらいたいのだが……」