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さぎむすめ
鷺娘
大倉 燁子
「宝石 一巻四号」1946(昭和21)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,370 字 · 21 页
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百合子は起ち上って、
「じゃ、明日、間違いなく、楽屋口へ来て下さい。うまく誤魔化すからね」
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当日は百合子と牒めし合せてあるので、万事うまく行った。
楽屋は大混雑で、家元へ挨拶しようと思ってもそれすら出来かねるほどだったから、百合子の傍でまゆみがうろうろしていても、誰一人それを怪しむ者はなかった。
すべては好都合だった。まんまと百合子になりすまして、白綸子に黒の帯、素足に手拭をふきながしに被ったところはどう見ても替玉とは思えなかった。
いよいよ鷺娘の出番になった。昨日散々小言を食った百合子が今日はどんな風にやるかと、同情半分好奇心半分で朋輩達は自分の事を放り出して見に行ったので、楽屋に居残っている者は一人もなく、空っぽだった。
百合子は舞台が気になって堪らなかったが、見に出ることもならず、荷物の間にすくんでいると、幕溜りから覗き見している朋輩達の思わずもらす歎声が耳に入った。
「まあ! 素晴らしい出来だわね」
「大した芸ねえ。家元さん以上よ」
そういう声を聞く度に百合子は胸がわくわくした。どんなにうまいのか、一つのぞいてやろうとひょいと首を出すと、運悪るく楽屋へ飛び込んで来たお弟子の女の子に見つかった。