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さぎむすめ
鷺娘
大倉 燁子
「宝石 一巻四号」1946(昭和21)年7月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,370 字 · 21 页
百合子は薄い唇を曲げて、
「断わっちまいなさいよ。私、あんな高慢ちき女大嫌いさ。美人ぶっていて――」
まゆみと百合子は従妹同志で両方とも一人娘だったので、幼少い時から姉妹のように仲好くしていた。年も同年の二十四、身長も同じ五尺一寸、色白のぱちりとした目鼻だち、うすでの感じまでよく似ている。しかし、性質はまるで正反対だった、まゆみがおっとりとして口数も少なく万事控えめなのに反して、百合子はてきぱきとして負けずぎらいの強気だ。金持ちのお嬢さんでふたりは学校以外にいろいろなことを仕込まれたが取り分け舞踊は両方の親達が好きだったので、六才の六月から稽古にやられ、まゆみも光村医学博士夫人となるまでは舞踊家としてたつ位の意気込みであったので、仲の好い二人も舞踊の事になるとまるで敵同志のように互いに鎬をけずッていた。が、天分のあるまゆみにはいくら努力しても百合子は足許にも追いつかなかった。
ところが今から五年前、歌舞伎座で舞踊大会のあった時、まゆみは見物に来ていた光村博士に見染められ、懇望されて妻になって以来ふっつりと舞踊とは縁をきり、地味な若奥様となって家庭の奥へ引込んでしまった。