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マージャンさつじんじけん
麻雀殺人事件
海野 十三
「新青年」博文館、1931(昭和6)年5月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 16,337 字 · 33 页
(二)みどりが気分が悪いと云ったときに彼が非常に狼狽したのは、彼が牌に塗りつけた毒物がみどりを犯したのではないかと危んだせいではあるまいか。(三)園部の座席は一番隅で毒物を塗ったり、あとで毒物を脱脂綿で拭ったりするのを秘密にやりやすいこと。(四)星尾が脱脂綿を落したことを園部が刑事に教えたのは、他のことについては口を緘して語らない彼としては、不審な行動と思われないこともないこと。(五)園部が、わざと星尾と同じ駅に下車し、しかも人殺しの兇器になりそうな文鎮を買って持っていたことなど、不審と言えば不審である。けれどもそれは全くの不審にすぎないことで、証拠として残されたものは一つもないのであるから、まことに根拠は薄弱で、断罪の日には「証拠不十分」として裁判官から一蹴されるべき性質のものだった。
この個條書を、くりかえし眺めていた彼は突然、
「こりゃ、可笑しいぞ」
と呟いた。
(五)の個條のところで、園部が文鎮を買ったことを指摘しているが、若しこれは園部が星尾を帰宅の途中で殺害するつもりで用意したものとすると、一体園部はどんなきっかけから星尾を殺す決心を急に起したのであるか。