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たそがれのこくはく

黄昏の告白

浜尾 四郎

「新青年」博文館、1929(昭和4)年7月

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 20,453 字 · 41 页

青空文庫

……蓉子の奴、身体まであいつに任せたんだ。」

「あいつとは誰だ?」

「無論米倉三造さ。」

「奥さんがそんなことを云ったかい?」

「馬鹿! 君は蓉子を知らないのか。あいつそんなことを白状するやつか。あの女はね、通常以上の女だぜ。女房をほめるわけじゃないが、あいつは人間より何より芸術を愛する女なんだ。頭もいいし口もうまいんだ。訊したところで白状なんかするやつじゃない。だから僕は一回だとてそんなはずかしい質問をしたことはないよ。」

「それじゃ奥さんがけしからんことをしたかどうか第一疑わしいじゃないか。」

「君は法律家のようなことを云う。それが怪しいと考え感じたくらいたしかなことはないじゃないか。しかも相手は米倉以外に誰が蓉子に愛される資格があるか。君、僕のいうことは無茶のようかもしれない。しかし、夫としての直観を信じたまえ、そうして僕が芸術家としての直観を。直観といっていけなければ本能を!」

「…………」

「明かに云えば僕は妻の挙動が怪しいことを感じた。しばしばいいかげんなことを云って家をあけることを知った。これで十分じゃないか。ある口実を構えて蓉子が出かける。調べてみると(卑劣なことだが僕は調べたよ)まったく嘘だ。