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Sふじんへのてがみ
S夫人への手紙
岸田 国士
「時事新報」1948(昭和23)年4月1、2、3日、5月3、4、5日、6月18、19、20日、7月12、13、14日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 14,921 字 · 30 页
あたり前の生活ができたら、と、無理算段をしています。
ところで、その「昔のような」生活が果して、われわれ人間としての本性に適つた、真にわれわれに幸福をもたらす生活であつたかどうかを疑うものは意外にすくないのです。
さて、やかましい議論はぬきにして、ともかく、従来の日本人の生活様式を、この際、根本から検討してみたうえで、すくなくとも、衣食住に関しては、次の三つの原則が結論としてみちびき出せるように思います。
第一は、和服をある程度制限して用いること。すなわち、婦人は部屋着と特殊な外出着(礼服を含む)に限りこれを保存し得ること、男子は、部屋着のみとすること。
第二は、米食をさしあたり、現在の二分の一以下に減ずること。すなわち、残りは粉食とすること。なお、「主食」なる観念を漸次なくすること。
第三は、畳の部屋をなるべく少くして、主として、イス式またはイス式を兼ねた「立坐両式」の住居様式を採用すること。つまり、畳敷ということにこだわらず、敷物を別に考案し、イスに掛けたり、クツシヨンの上に坐つたりできる部屋を作ること。
そこで、以上の原則を実践にうつすについて、仮に主婦がこれに賛成しただけではどうにもなりますまい。