轻读日语

轻松读懂日语经典作品

ja-reading.com

轻松读懂日语,轻松阅读日语。在线阅读日语经典作品。支持在阅读过程中显示假名、查询生词、翻译句子。

ジ アフェア オブ トゥー ウォッチイズ

The Affair of Two Watches

谷崎 潤一郎

「新思潮」1910(明治43)年10月号

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 13,107 字 · 27 页

青空文庫

「私ゃ梅毒で鼻が落ちたら、その時こそ、此の通り切腹するぜエ。」

こう云いながら、原田が杉箸で腹を切る真似をした。

やがて私が妹から伝授の如何わしい勧進帳を唸り出すと、二人とも負けない気になって義太夫やら端唄やらを怒鳴り立てた。杉は青森のズウ/\音で、日本海の嵐のような息を吐きながら、「わスと云うものないならば」と小鼻をヒクヒク隆起させて居た。喉が自慢の原田は、如何にも黒人の態度を見ろと云わんばかりに厳粛な面構えを拵え上げて、「夕ぐれ」「わがもの」「わしが国」「秋の夜」「忍ぶ恋路」と知って居るだけ片ッ端からお浚いをした。そして時々仔細らしく首をかしげて、

「や、こゝが可かん。どうもこれじゃ絃に合わんようじゃ。」

などと云った。

此の演藝共進会が済むと、再びお喋りが始まり、話題はいつしか古今東西の人物評に滑って行った。

「諸葛孔明の生涯は偉大なる悲劇だ。あんな大人物でありながら自己の全部を玄徳に捧げたのは感心だ。孔明のえらさは透き徹ったえらさだ。透き徹った人物は動ともすると小規模になるが、孔明はそれで大きいから不思議だ。漢の高祖などはいくら大きくッても恐ろしく濁って居るからな。