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“のうひつジム”
“能筆ジム”
「財政 第一六巻第三号」1951(昭和26)年3月1日
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,488 字 · 9 页
亭主が二階にあがり、スタジオに当てられた部屋に入って、戸をぴったり閉ざしているときなど、彼女は亭主は画を描き、でなければ読書三昧にふけっているものとばかり考え、不思議には思わなかった。それに、ニンゲルは古い型の亭主で、家族は彼に絶対服従、彼のすることには口をはさませなかったから、彼女にしても何をしているのか聞く勇気さえなかった。
ニンゲルは、買物には特に注意を払った。週に一度近くの街のソマーヴィルに出かけて、肉類をはじめ食糧品を買い、時には女房や子供ともども出かけて衣類などを購うこともあった。そうして、女房には充分金を与えて、不満のないようにしていた。その上彼は、月に一度位の割合で商用のためにニュウ・ヨークに出かけることにしていたが、彼が株の思惑でつくったと称する金を持帰って、ほくほくしているのを見ても女房は別に不思議とも思わなかった。寧ろ亭主はなか/\の腕きゝで、うまくやったものと考えてござったのである。
“能筆ジム”が十七年間もふんづかまらなかったのは、まったく秘密をまもったからであった。彼は、自分の仕事を誰れにも喋らなかったし、どんな場合にも扉を開け放っておかなかったように、大変な注意を払っていたようだ。