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ああぎょくはいにはなうけて
ああ玉杯に花うけて
佐藤 紅緑
「少年倶楽部」1927(昭和2)年5月号~1928(昭和3)年4月号
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 126,617 字 · 250 页
このときお宮の背後から手塚が現われた。
「やあ柳! どうしたのだ」と手塚がいった。
「こいつはね、不都合なことをするからこらしてやったんだ」
「チビじゃないか、おいチビ、おまえ一体生意気だよ、おまえはなんだろう、いま、ここで文子さんと話していたんだろう」と手塚はいった。
「ぼくはひとりだよ」と千三は起とうともせず大地に座りながらいった。
「隠すなよ、おれがちゃんと見ていたんだ、なあ柳、こいつはゆだんがならないよ、気をつけたまえね、しかしこのくらいやっつけたら二度と悪いことはしまいから堪忍してやれ、可哀そうに、おいチビ、改心しろよ」
手塚は光一をなだめなだめして手を曳いて去った。境内はふたたびもとの静寂にかえった。さらさらさらと動く松の梢の上に名も知らぬ小鳥が一つどこからともなく飛んできてさえずりだした。その間から遠くの空の白い雲が見える。千三は座ったまま動かなかった。かれはなにがなにやらわからなかった。かれの第一に感じたのは光一の乱暴! そのつぎに起こったのは金の力と腕の力の相異によってだまって侮辱に甘んじなければならぬ悲しさであった。柳は財産家の子だ、それに腕力が強い、貧乏で身体が小さいおれはかれに対して抵抗することがない。