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あそび
あそび
「三田文學」1910(明治43)年8月
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 10,358 字 · 21 页
木村はなぜ戦わないだろうか。実は木村も前半生では盛んに戦ったのである。しかしその頃から役人をしているので、議論をすれば著作が出来なかった。復活してからは、下手ながらに著作をしているので、議論なんぞは出来ないのである。
その日の文芸欄にはこんな事が書いてあった。
「文芸には情調というものがある。情調は situation の上に成り立つ。しかし indfinissable なものである。木村の関係している雑誌に出ている作品には、どれにも情調がない。木村自己のものにも情調がないようである。」
約めて言えばこれだけである。そして反対に情調のある文芸というものが例で示してあったが、それが一々木村の感服しているものでなかった。中には木村が、立派な作者があんな物を書かなければ好いにと思ったものなんぞが挙げてあった。
一体書いてある事が、木村には善くは分からない。シチュアシヨンの上に成り立つ情調なんぞと云う詞を読んでも、何物をもはっきり考えることが出来ない。木村は随分哲学の本も、芸術を論じた本も読んでいるが、こんな詞を読んでは、何物をもはっきり考えることが出来ない。