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あのよからたよりをするはなし
あの世から便りをする話
海野 十三
――座談会から――
N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,493 字 · 9 页
と聴いて見ました。そうしたら「そうだね、それは軈て一週間程すると僕の四十九日が来るから、その時に一つ出して貰いたい」こういう話でした。ところが一週間後の四十九日という日は、八月の最中です。八月の最中に雪がチラチラ降る新体詩が出せるものか出せないものか、これはオヤオヤと思ったです。第一、原稿ということがどうしてもその友達に呑み込めないのです。生前原稿を毎日書いていた位の男が、死ぬと急に原稿が何であるかということを知らなかったのはどうも訝しい。分らずに苦しがっていたから「原稿というのはつまり君が何時だか書いた文章のことだ」と僕が助け舟を出してやって初めて分ったのです。その中に到頭友人は大分苦しがりまして、愈々引込むことになりました。「まだ話があるけれども、実は僕の妻が君に逢いたいそうで待っているから、替る」というので、振切るようにして友達の霊は無くなりまして、今度は細君が出て来た。忽ち細君の声に変りまして、非常に優しい声です、やって居る霊媒はお婆さんですから、女の方がうまく行くんでしょう。「どうも生前はいろいろお世話になりました」から始まりまして(笑声)、結局最後に「何か申し残したい事はありませんか」