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あのよからたよりをするはなし

あの世から便りをする話

海野 十三

――座談会から――

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 4,493 字 · 9 页

青空文庫

実は私の最も信用する友達で、最近心霊波の研究をするために自ら自殺をしたのがあります」という話に移りまして、「あの世とこの世との交通が心霊波で結ばれ、そのために霊媒という受信機みたようなものもある。結局これは心霊波の元締をやって居る守護神というものに頼んで、その電波を止めて貰うより仕様がない、あなたをひとつ心霊研究会へ御紹介するから、行ってごらんになったら宜かろう」とその患者さんに名刺を渡して先方へ行って貰うと同時に、私は心霊研究会へ電話を掛けまして「今斯う斯うした人が行くから、宜しく頼む」とやりました。

これで危難を逃れた形ですが、到頭一年ほど経ちまして、その男が元気になってやって参り、「私は愈々郷里へ帰ろうと思います。郷里の方も大変忙がしく、それに電波ももうこの頃じゃ殆んど聴えない。その上心霊研究会へ一日に一円ずつ払って(笑声)やっても居られませぬから、一応郷里へ帰って参ります」と、非常にせかせかと私に礼を言って帰りましたが、多分それは正気になってしまったんだろうと思うんです。結局そうして見ると、これは矢張り心霊研究会の威力であったんだろうと思うのです。