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あらくれ

あらくれ

徳田 秋声

在线阅读徳田 秋声《あらくれ》,假名注音日语阅读。JLPT N2,点词查义。

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 119,451 字 · 236 页

青空文庫

五十

鼓や太鼓の音がのべつ陽気に聞えた。笛の巧いという、盲の男の師匠が、芸者に手をひかれて、廊下づたいに連れられて行った。

そこへ精米所の主人がやって来て、炉縁に胡坐をかくと、そこにごろりと寝転んでいたお爺さんは直に奥へ引込んで行った。精米所の主人の前には、直に銚子がつけられて、上さんがお酌をしはじめた。

「あれを知らねえのかい。お前も余程間ぬけだな」

兄はその主人と上さんとの間を、お島に言って聞せた。

「あの家も、精米所のお蔭で持っているのさ。だから爺さんも目をつぶって、見ているんだ」

兄はそうも言った。

五十

旦那を鉱山へ還してから、女が一里半程の道を俥に乗って、壮太郎のところへ遣って来るのは、大抵月曜日の午前であった。

家が近所にあったところから、幼いおりの馴染であった、おかなと云うその女が、まだ東京で商売に出ている時分、兄は女の名前を腕に鏤つけなどして、嬉しがっていた。そして女の跡を追うて、此処へ来た頃には、上さんまで実家へ返して、父親からは準禁治産の形ですっかり見限をつけられていた。

日本橋辺にいたことのあるおかなは、痩ぎすな躯の小い女であったが、東京では立行かなくなって、T――町へ来てからは、体も芸も一層荒んでいた。