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あるニュー・フェイスへのてがみ

あるニュウ・フェイスへの手紙

岸田 国士

「演劇 第一巻第一号~第七号」1951(昭和26)年6月1日~12月1日、「演劇 第二巻第一号~第二号」1952(昭和27)年1月1日~2月1日

N2 · 挑战 · 新字新假名 · 49,146 字 · 96 页

青空文庫

「このジューヌ・オンムは日本からフランスの芝居を勉強しに来たんだ。これからうちのもの同様、出入り自由だ。なんでも希望どおり便宜を計るように……」

コポオは、こんなことをジューヴェに言いました。ジューヴェは、例のギョロリとした眼玉を僕とコポオとにかわるがわる向け、

「ボン、ボン」

と、たしか答えました。

あとからだんだんわかったのですが、当時、ジューヴェは、俳優としてよりも、むしろ、コポオの演出助手、或は装置主任という資格で、一座の重要なメンバアでした。

新しい演し物がきまると、コポオはまず、ジューヴェに装置のプラン作製を命じます。

周知の通り、ヴィユウ・コロンビエ座の客席は、普通の住宅の一階の天井を打ち抜いたもので、舞台の奥には、どうしても外すことのできない梁が横にはいっています。が、この梁こそは、ヴィユウ・コロンビエ座の舞台の特色となったもので、屡々それは二階の部屋となり、高いバルコニイとなり、自然に空間が利用できる便利な構造なのです。コポオは、これを呼んで「常設舞台」(セーヌ・ペルマナント)と言い、プロセニウムの客席に通じる半円形の階段とともに、彼の目指す「演劇の再演劇化」